交通事故の診断書は必ず提出が必要?
作成にかかる費用や期間は?そもそも何で必要なの?
警察にも提出する?提出しなかったらどうなるの?
診断書の作成に1週間かかるってほんと?
交通事故に遭ったら必ず提出が求められる診断書は、慰謝料や治療費を適切に受け取るために必要な大切な書類です。
目的によって提出先も異なり、記載事項や提出期限も変わってきます。
編集部
診断書を提出しないことは、被害者にとってデメリットしかありません!
本記事では
- 診断書が必要な理由
- 診断書の提出先
- 診断書にかかる費用
- 診断書の提出期限
診断書発行から提出に関することまで、それぞれ詳しく解説していきます。
どんな時にどんな診断書が必要なのかもわかりやすく解説していますので、
「交通事故の診断書ってなぜ必要なの?」
「なんのために提出してるのかよくわからない」
という人は、ぜひ最後までチェックしてくださいね!
目次
交通事故にあったら診断書が必要?
編集部
交通事故に遭ったら絶対に診断書は必要です!
というのも、適正な処理や賠償を受けるためには、ケガの状態や治療内容について正確に把握する必要があり、診断書はその根拠として大切な書類となるためです。
診断書が必要な3つの理由について、それぞれ解説していきます。
人身事故として扱ってもらうために必要になる
診断書が必要な1つ目の理由は、『人身事故』として扱ってもらうためです。
編集部
人身事故として処理してもらわなければ、損害賠償請求をかけることができません!
損害賠償請求には「交通事故証明書」を発行してもらう必要があり、その発行を受けるために警察に診断書を提出する必要があります。
治療費などの支払いを受けるために必要になる
診断書が必要な2つ目の理由は、治療費などの支払いを保険会社に負担してもらうためです。
保険会社が治療費を支払うにあたり、傷病名や治療内容を把握する必要があるため、治療を担当する医師が発行した診断書を提出します。
編集部
慰謝料などの損害賠償金額は、通院期間やケガの内容によって左右される金額です。
後遺障害の認定を受けるために必要になる
診断書が必要な3つ目の理由としては、後遺障害の認定を受けるためです。
交通事故によるケガが長期間の治療を続けても改善せず、残ってしまった症状を『後遺障害』という。
残った症状の段階ごとに14の等級に分類する手続きを『後遺障害等級認定』とよび、認定されることで後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が可能となる。
後遺障害等級認定の申請には専用の書式(後遺障害診断書)が必要となり、診断書の内容によって後遺症の等級が決まり、後遺障害慰謝料などの金額が決定されます。
編集部
この診断書がないと障害の認定も受けられないし、後遺症による慰謝料も請求できないということになりますよ!
提出しなくてもいい?
もし提出しなかった場合は、次のようなデメリットが発生してしまうので注意してください。
- 相手に慰謝料を請求できない可能性がある
- 事故状況で争った場合、不利になってしまうことがある
- 治療費の補償が受けられない
- 後遺障害認定が受けられず、後遺障害慰謝料を請求できない
このように、受け取れるはずの賠償金額を受け取れなくなるなど大きなデメリットが生じてしまいます。
編集部
むしろ診断書を提出しないのは、被害者にとってデメリットしかありません!
まれに警察沙汰にしたくない加害者から「診断書は提出しないでほしい」とお願いされ、示談に持ち込むケースもあるようですが、簡単に応じてはいけません。
賠償金額をもらえなくなるだけでなく、事故の状況について相手と意見が食い違ったときに主張の根拠が提出できず、被害者に不利な形で示談がまとまってしまう危険もあります。
交通事故による診断書の提出先
交通事故による診断書は、以下の3カ所にそれぞれ提出が必要となります。
- 警察
- 保険会社
- 自賠責保険会社
提出先によって書式や記入事項が異なるため、それぞれ詳しく解説していきます。
警察
警察には人身事故として処理してもらうために診断書が必要となります。
人身事故として処理しなかった場合、人の死傷が関係ない「物損事故」として扱われ、相手に慰謝料が請求できなくなるかもしれません。
さらに、物損事故として扱われると「交通事故証明書」も発行できないため、後遺症が残ってしまった時の後遺障害認定も受けられなくなってしまいます。
人身事故 | 物損事故 |
---|---|
診断書の提出が必要 | 診断書必要なし |
交通事故証明書の 発行が可能 | 交通事故証明書の 発行不可 |
損害賠償請求ができる | 損害賠償請求できない |
交通事故証明が 発行できる | 交通事故証明は 発行できない |
編集部
それ以外にも、実況見分調書などの刑事記録も作成されないんです…
刑事記録がないということは、事故の状況を正確に取り調べる書類が作成されないということ。
事故の加害者との意見が食い違った時、事故状況を証明するものがないため、被害者に不利な示談が成立してしまう原因にもなるため注意が必要です。
- 傷病名
- 全治日数の見込み
保険会社
損害賠償を請求するために、保険会社にも診断書を提出します。
損害賠償は『一括対応』と『被害者請求』の2つの請求方法があり、どちらを選ぶかによって診断書の提出先が変わってくるため気をつけてください。
- 一括対応
加害者側の任意保険会社が、自賠責保険の損害賠償と任意保険会社の損害賠償を一緒に被害者へ支払う
診断書の提出先:加害者側の任意保険会社 - 被害者請求
被害者が自分で自賠責保険の損害賠償を請求する
診断書の提出先:自賠責保険会社
編集部
加害者が任意保険に加入していれば、一括対応で請求することがほとんどです!
損害賠償請求には5年の時効が定められているため、保険会社への診断書の提出期限は、事故発生から5年以内となります。
- 傷病名
- 治療開始日
- 治癒日(または治癒見込み日)
- 受傷部位
- 治療の内容
- 治癒の経過
- 各種検査結果
- 今後の治療
同意書の提出も必要
損害賠償請求を一括対応としている場合、加害者の任意保険会社から「同意書」の提出も求められます。
この同意書は、任意保険会社が病院から被害者の医療情報を得ることに対する書類です。
同意書を提出することによって、被害者は病院で治療費を立て替えることがなくなるというメリットを得られるようになります。
自賠責保険会社
損害賠償の請求方法を『一括対応』としている場合は、自賠責保険会社に診断書を提出する必要は特にありません。
しかし、後遺症が残った場合に請求できる『後遺障害賠償金』については、被害者自身で請求する『被害者請求』を行うことがおすすめです。
編集部
被害者請求を行うメリットは2つ!
- 適正な後遺障害等級を得られる可能性が高い
- 賠償金が振り込まれるのが早い
一括対応で後遺障害認定を得る場合、書類の準備を保険会社が代行してくれるので被害者の負担はかなりラクになります。
しかし、任意保険会社はあくまで『加害者側』の立場なので、適正な後遺障害等級を得られているのかが不透明です。
また一括対応となっている場合、示談交渉が終わるまで賠償金が振り込まれないため、被害者対応の方が早く賠償金を受け取ることができます。
- 後遺症の部位、内容、程度
- 被害者本人の自覚症状
- 各種検査結果
- 症状固定日(これ以上の治療は効果がないと判断された日)など
交通事故による診断書の費用
交通事故による診断書の作成費用は、受診する病院によって異なりますが、平均して1通あたり3,000〜5,000円程度です。
基本的に診断書の作成費用も保険会社が支払いますが、事故直後に受診した場合は手続きが間に合わずに手出しが必要になるケースもあります。
後から加害者側に請求できるので、必ず領収書を保管しておくようにしましょう。
編集部
また、診断書の作成は医師に依頼します。
作成した診断書は即日もらえることもありますが、記載事項が多いものなどは長くて3週間ほどかかるケースもあるようです。
交通事故の被害者の場合、診断書は必ず必要になるので早めにもらっておくようにしましょう。
作成費用 | 1通あたり3,000〜5,000円 |
---|---|
依頼場所 | 治療を担当する医師 |
作成期間 | 即日〜長くて3週間程度 |
交通事故による診断書の提出期限
交通事故による診断書の提出期限は、提出先によって異なるため注意が必要です。
それぞれのケースについて解説していきます。
警察への提出期限
警察への診断書の提出期限は特に定められていません。
しかし、提出しないということは「物損事故」として扱われるということ。
時間が経過してから提出しても物損から人身事故に切り替えてもらえなくなる可能性が高いため、できるだけ早めに提出しておくことがおすすめです。
編集部
できれば事故発生から1週間以内、遅くても10日以内には提出するようにしましょう。
保険会社への提出期限
加害者側の任意保険会社に提出する診断書や後遺障害診断書は、法律に定められている損害賠償が請求できる期間内であれば、いつでも提出可能です。
- 人身事故の場合:事故発生日から5年(加害者不明の場合は20年)
- 物損事故の場合:事故発生日から3年(加害者不明の場合は20年)
- 自賠責保険会社に被害者請求する場合:事故発生日から3年
事故の後遺症が残った場合の後遺障害賠償請求には、後遺障害診断書が必要です。
後遺障害診断書をもらうには『後遺障害等級認定』をもらう必要がありますが、症状固定の診断がされてからしか申請ができないため、まずは治療に専念する必要があります。
これ以上治療を続けても症状が改善しない状態のこと。
症状固定された後の治療費は、保険会社に請求できなくなる。
編集部
長めの期限が設定されていますが、できるだけ早く対応したほうが余計なトラブルを回避できますよ!
ケガの状態や治療の進み具合によっては、損害賠償請求権が認められている期間内に回復することが難しいケースもあります。
まとめ
ここまで、交通事故の診断書について必要となる理由や提出先、提出期限など詳しくお伝えしてきました。
本記事の内容を簡単にまとめます。
【結論:診断書は治療費や賠償金を受け取るために必ず必要!】
- 診断書の提出先:警察・保険会社・自賠責保険会社
- 診断書の依頼先:病院の医師(整骨院では発行できない)
- 診断書の費用:1通あたり3,000〜5,000円
→加害者側に請求できるため領収書を取っておく - 診断書の提出期限
警察:期限はないができるだけ早く提出する
保険会社:事故発生日から5年
交通事故に遭いケガを負っている状態で、診断書や保険の手続きは被害者にとって負担になります。
しかし、診断書を提出しなかった場合、治療費や賠償金を受け取れないだけでなく、示談交渉も不利に進む可能性もあり、被害者にとってデメリットしかありません。
編集部
事故に遭ったらまずは病院へ!そしてすぐに警察に提出するための診断書の作成をお願いするのがおすすめ。
診断書は損害賠償の内容や金額に直結する大切な書類です。
わからないことがあれば自己判断せず医師や弁護士に相談し、できるだけ早めの提出を心がけましょう。